フリーランスエンジニアのバッグや靴が経費になる?税理士に聞いてみた!
18/05/13 14:47:00 18/10/27 01:39:18
フリーランスエンジニアは第一印象が重要
フリーランスエンジニアは、自分という存在のみで自分の市場価値が決まります。会社員の場合、所属している会社がその人の印象や市場価値の一部になる面もありますが、フリーランスエンジニアの場合、客観的な指標がその人自身しかありません。
「フリーランスエンジニアとして、自分の技術力や人間性で勝負する」という発想はもちろん頼もしい考え方なのですが、人は見た目でも判断されます。特に初対面だと第一印象はほぼ視覚から入ることでしょう。
上述の通り所属している会社等の肩書のないフリーランスエンジニアは、会社員よりも一層第一印象の見た目で判断される割合も多いということです。会社員なら、「見た目は微妙だけど大手企業在籍か・・・見た目はあれだけどスキルは高いんだろうな」なんてこともありますが、フリーランスだと「見た目が微妙だな・・・会社員クビになってフリーランスなのかな?」なんて思われかねません。
顔や生まれ持ったものは変えられませんが、持ち物などで印象は大きく変わります。特に、ビジネスの場において身だしなみは重要です。そして、身に付けている「バッグや靴」で仕事への意識や人間性を判断される面もあるでしょう。
もちろん、やたら高価なものを身に付けていてもかえって成金感が強く、マイナスイメージを持たれることもありますが、身に付けているものが安物過ぎても無頓着過ぎて仕事を任せるのが心配だ、と思われる可能性があります。
肩書のないフリーランスだからこそ、身だしなみには特に気を付けておきたいところですね。前置きが長くなりましたが、このページのテーマは「フリーランスエンジニアのバッグや靴が経費になるのかどうか」です。
身だしなみに気を使えるフリーランスエンジニアなら、ぜひ購入したバッグや靴を経費で落とせるかどうかにまで気を使いましょう。そこで、そもそもバッグや靴を経費にできるのか、その場合勘定科目は何になるのか、などを税理士に聞いてみました。
バッグや靴は経費にできる?
バッグや靴を経費にできるかということですが、結論としては「できるにはできるが、できない場合もある。」です。なんとも歯切れの悪い結論で申し訳ないのですが、なぜこのような結論になるのか解説していきます。
まず、本当に100%仕事にのみ使用すると確実に証明できるバッグや靴なら全額経費計上しても良いのですが、プライベートでも使用する場合は、70%経費にする、といった方法があります。フリーランスエンジニアの場合、仕事でもプライベートでも使用するバッグや靴を持つ方は多いのではないでしょうか。
そして、ビジネスシーンで頻繁に使用されるスーツやビジネスバッグや革靴だからといって、確実に経費にできるというわけではありません。「冠婚葬祭なんかで使うこともあるでしょ?」というのが税務署の言い分です。
はっきり言って「たしかに冠婚葬祭で使うこともあるが、99%は仕事で使う。」と反論したいところです。しかし、残念ながら認められないケースが多いのです。逆に、それほどビジネス使用感がないリュックやトートバッグ、女性ならヒールが経費として認められる場合もあります。
なんで?と疑問に思われるかもしれませんが、これは税務署の存在目的を考えると納得がいくかもしれません。税務署は、なるべく多くの税金を確保する必要があります。一例として、高所得者から優先的に税務調査を行う理由も当然そのためです。
つまり、「スーツやビジネスバッグや革靴を経費にされると税務署は困る。」ということなのです。これらのビジネス用品は高価なものも多く、また多くのフリーランスが所有しているものでもあります。
みんなが経費計上してくると、「税収が大幅に減ってしまう」という税務署にとって嬉しくないことが起こります。そういう理由で、主な使用目的が仕事であってもこれらの衣類に税務署は厳しいのです。
冠婚葬祭にも使用する、という理由は妥当性があるにはありますが、ビジネスシーンで使用することの方が多いので、それなら9割以上は経費計上できるはずです。それができないのは、このように税務署にとって不利だからなのです。
逆に、それほどビジネス利用感がないバッグや靴や中にはアクセサリーも経費として通る可能性があります。その理由は、あまり経費計上してくる人がおらず、またビジネス利用する衣類に比べて安価なケースが多いからです。
これらの衣類を経費として認めても税務署にとってあまり痛手にはならないので、割と判断が甘め、ということです。「ビジネス利用ということをしっかり証明する」ことは経費を計上する上で重要なことですが、それと同時に「税務署は税金を確保する必要があるので、妥当性があっても、経費として認められないものもある。」ということを知っておくと良いでしょう。
いくら税金確保のためとはいえ、明らかにビジネス用途のスーツ等が経費として認めらないことには文句を言いたい気持ちもあるかもしれません。しかし、相手は国家権力。いちフリーランスエンジニアが文句を言っても変わりません。
経費計上のルールと税務署の考えを理解した上で、素直に従い、その中でうまくやり繰りするのが賢い選択かもしれません。
税理士によって見解が異なる
上述の通り、ビジネスバッグやビジネスシューズは経費計上できない可能性が高いということでした。そして、意外とビジネス以外でも使えそうなバッグ、靴、アクセサリーが経費計上できる場合もある、ということです。
ただし、これは税務署の担当者によっても意見が分かれ、税理士によっても意見が分かれるところです。というのも、たしかにビジネス用途以外のバッグや靴が経費として認められる場合はあるが、認められない場合の方が多く、結果的に税務調査を受けることにつながってしまう可能性が高いからです。
バッグや靴がきっかけで税務調査を受けることになれば、他の経費も含め、全体的にチェックされる可能性が高いでしょう。そうなると、せっかく経費にできていたものまで細かく突っ込まれて経費にできなくなる可能性があります。
こういった労力や損害を考えて、「バッグや靴を経費計上できる可能性はあるが、税金がお得になるほど高価なものは経費として認められない可能性が高いので、最初から経費計上しない方が良い。」とアドバイスする税理士もいるようです。
たしかにバッグや靴を経費計上して認められる可能性はありますが、どのくらいの金額、どのくらいビジネス用途感があれば認められるのか、といった統計データは存在しません。税務署の担当者の裁量にもよるのですが、結果的に税務調査に入られては「やっぱりバッグと靴は辞めておけば良かった。」ということにもなりかねないでしょう。
結局バッグや靴は経費計上すべき?
結局バッグや靴は経費計上すべきなのか、という疑問が残ります。上述の通り税理士によっても見解が分かれるポイントなので、一概に断言することはできないです。一つの考え方として、他の経費との兼ね合いで考えるのが良いかもしれません。
たとえば、「バッグや靴くらいしか経費計上していない」「他の経費は税務署に突っ込まれても絶対に大丈夫な自信がある」といった状況であれば、経費計上が通る可能性を信じて経費計上してみるのもありです。
運良く経費として認められるかもしれません。しかし逆に、「バッグや靴がきっかけで他のところにも目を付けられるかも・・・」「突っ込まれたら困るところがいくつかあるんだよな」という場合、バッグや靴の経費計上は辞めておいた方が良いかもしれません。
税務署も突っ込みどころが多いほど税務調査に入る可能性が高いので、すでに不安点がある場合、バッグや靴の経費計上で自ら追い打ちを掛けない方が良いかもしれません。
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