フリーランスエンジニアの服装が経費になるか税理士に聞いてみた!
18/05/13 14:50:15 18/05/20 15:26:10
フリーランスエンジニアがこだわりたいポイントの一つが服装。会社員と違って肩書がない分、完全自分勝負なのがフリーランスの良いところでもあり、難しいところでもあります。そして、「フリーランスエンジニアなら仕事で勝負だ!」と言いたいところですが、見た目も重要です。
初対面の取引先だと特に外見で第一印象が決まり、それがそのまま仕事を取れるかどうかの判断につながってきたりもするわけです。そういうことなので、ぜひ見た目にもこだわりたいですね。
しかしそうは言っても、生まれ持った顔は整形でもしないと変えることはできませんし、体型を急に変えることもできません。そこでもっとも簡単に変えられるのが「服装」です。「会社員時代は何も考えずにスーツを着ていたけど、フリーランスになったしオシャレなオフィスカジュアルとか着こなしてみたいな。」と考えているフリーランスエンジニアの方もいるのではないでしょうか。
だけど「あまり服にお金を掛けたくないな。」「どうせ買うなら経費にしたい。」なんて気持ちもあるかもしれません。そこで、フリーランスエンジニアが服を購入した際、どこまで経費にできるのか税理士に聞いてみました。
このページでは、税務署の判断基準や経費になるかどうかの線引きについて解説しています。経費にする前に、そもそもフリーランスエンジニアがどのようなファッションをすれば良いのかについては、別サイトを当たってみてください。
目次
そもそもフリーランスエンジニアが服を買ったら経費になる?
購入した服を経費にしようと頑張る前に、そもそもそれが可能なのかどうかについて説明します。結論としては、「経費にできる可能性はあるが、難しい場合が多い。」です。残念ながら、服は経費として認められないケースが多いのです。
以下では、経費になりやすいケースとそうでないケースについて紹介していきます。
フリーランスエンジニアの服が経費になりやすいケース
フリーランスエンジニアの服が経費になりやすいケースとは、それが明らかに作業着である場合です。税務署は「本当に仕事で使用するのか」「プライベートでも使用しないか」という点をチェックしています。つまり、明らかに仕事でしか着ないような作業着であれば、経費計上できる可能性が高いというわけです。
たとえば、エンジニアのなかにはサーバーを搬入したり、物理的な機器を設定したりといった、肉体労働系の作業が多いエンジニアの方もおられるでしょう。そういった方の場合、仕事用に作業着を用意するかもしれません。
作業着なら、ほぼ確実に経費として認められます。では逆に、経費として認められにくいのはどういった服でしょう。
フリーランスエンジニアの服が経費になりにくいケース
フリーランスエンジニアの服が経費になりにくいケースとは、仕事着が「カジュアル」「オフィスカジュアル」「スーツ」などの場合です。仕事以外でも着られるような服の場合、税務署は経費として認めにくくなります。
カジュアルな服
まずカジュアルに関しては、当然仕事場だけでなくプライベートでも着られるので、経費にしにくいです。税務署に対して「これは仕事でしか着ないカジュアルウェアだ。」と説明しても、納得感がないでしょう。
また、「仕事で着る割合が8割程度なので、8割経費にしたい。」という主張も通らない可能性が高いです。100%経費計上するよりは通る可能性が高いのですが、やはり必需品であって、仕事だから着ているわけではない、といったことを言われて経費として認められない可能性が高いです。
オフィスカジュアル
オフィスカジュアルに関してもカジュアルウェアとあまり状況は変わりません。たしかに仕事がなければオフィスカジュアルな服装はあまりしませんが、税務署は認めてくれない可能性が高いです。
税務署の担当者によって何を言われるかは人によって変わってきますが、「会社終わりの飲み会に着て行ったらプライベート。」「絶対に仕事以外で着ていないと証明できるか。一般論として合コンや婚活にオフィスカジュアルで行くケースも多いので、実際に仕事でしか着ていなくても特別扱いできない。」「オフィスカジュアルは経費計上できないということで統一しているので、ご了承ください。」といったことを言われるでしょう。
スーツ
最後にスーツに関してですが、残念ながらスーツも経費計上できないことが多いです。「えっ!?さすがにスーツは業務用でしょう?」という気持ちはよくわかりますが、残念ながら認められないケースがほとんどなのです。
税務署の言い分としては、「冠婚葬祭に使うこともある。」「仕事終わりにスーツでプライベートな時間を過ごしている。」といったことです。実際仕事でしかスーツを使用していなくても、経費として認めてもらえない可能性が高いです。
税務署の言い分は上述の通りなのですが、実際は「スーツを経費計上されると税収面で困る。」という問題もあるようです。スーツは8割以上仕事で使う人が多いので、8割くらいは経費として認めても良い感じがしますが、そうなると税務署が確保できる税金額がかなり減ってしまいます。
なぜなら、スーツはほとんどのフリーランスが使用するので、スーツの経費計上を認めると多くの人に経費計上されてしまうからです。「スーツを経費として認めない言い分」が税務署にもあるにはあるので、それを盾にスーツは経費として認めないことが多いのです。
結局服装の経費計上はどうする?
上述の通り、作業着なら経費として認められる可能性が高いので、積極的に経費計上すると良いです。しかし、問題はスーツやオフィスカジュアルでしょう。これらの衣服は経費として認められない可能性が高いのですが、可能性がゼロなわけではありません。
明確に経費計上が認められる線引きが定められているわけではありませんが、スーツの経費計上が認められた事例もあるようです。100%の経費計上が認められた事例もあれば、70%程度の経費計上が認められた事例もあるようです。
この条件に当てはまれば絶対に経費として認められるわけではありませんが、たとえば、「スーツは仕事用としてずっとオフィスに置きっぱなしにしている。」「スーツがあまり高価なものではない。」などの条件を満たしており、なおかつ税務署からの印象がかなり良いと経費として認められる場合もあるようです。
この「税務署からの印象」が実は重要で、単に表面上言葉でどのように説明したかだけではなく、担当職員からの印象が良いために得をするケースが多々あるようです。もちろん、確定申告は法律に基づいて行われ、税務署職員もそれを法に基づきチェックします。
ただし、完全に法律で白黒はっきり付けられるわけではないのです。曖昧な部分がかなり多く、それらは担当職員の裁量にゆだねられています。税務署職員もなるべく公平に判断するようにはしているかと思いますが、人間なので主観が入る可能性も高いでしょう。
つまり、納税者の印象によって税務署職員の判断も変わってくるということです。賄賂を渡すとか接待するとかそういうことではなく、たとえば、書類に不備が多かったり、経費計上できないものを経費にしようとしていたりすると、当然全体的にチェックが厳しくなるという意味です。
逆に不備なくきっちり書類を提出しており、経費に関しても細かく勘定科目等わかりやすい分類をしていれば、「この人はきっちりしているから多少甘めに見ても問題ないだろう。」という心理が少なからず働きます。
だからといって税務署職員が手を抜いて書類を確認するわけではないでしょうが、ぜひ「税務署からの印象」にも注意し、経費を含めた書類作成をきちんと行うと良いですね。
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