Swiftで参照渡ししたい時のinoutの便利な使い方
19/03/10 13:55:36 19/06/02 13:52:14
inoutは引数に入れた変数を関数の処理により変更する際に使用するコードです。
このページではinoutを使わない場合と比較しつつinoutの使い方について解説します。
目次
inoutのなしとありの比較
まずは簡単なコードでinoutなしの場合とありの場合を比較します。inoutなしのコードは以下のようになります。
var aa = 0
func plusA(_ a: Int) {
aa += 10
}
plusA(aa)
print(aa) // 0
シンプルな加算処理ですが、出力結果では加算処理が反映されていません。理由は関数のスコープで、スコープ外ということで関数の処理は外部の変数に影響を与えていないからです。では次にinoutありで同じ処理を実行します。
var bb = 0
func plusB( _ b: inout Int) {
b += 10
}
plusB(&bb)
print(bb) // 10
このコードでは関数内の処理が外部の変数に影響を与えています。そのため、最終的な出力結果は10になっています。このように、関数外の変数に影響を与えるために指定するのがinoutです。関数側でinoutを指定し、呼び出し側では&を付けます。
多少面倒な構造にはなっていますが、これは誤って関係ない変数に影響を与えないため安全性を考慮したSwiftの仕様です。変数が二つ以上あるコードでの例は以下です。まず値渡しの方です。
func swapInt(var a:Int, var b:Int)
{
var tmp:Int
tmp = a
a = b
b = tmp
}
var x:Int = 2
var y:Int = 3
println("x:\(x)") //x:2
println("y:\(y)") //y:3
swapInt(x, y)
//値渡しなのでSwapされない
println("x:\(x)") //x:2
println("y:\(y)") //y:3
次に、参照渡しのコードです。
func swapInt(inout a:Int, inout b:Int)
{
var tmp:Int
tmp = a
a = b
b = tmp
}
var x:Int = 2
var y:Int = 3
println("x:\(x)") //x:2
println("y:\(y)") //y:3
swapInt(&x, &y)
//参照渡しなのでSwapされている
println("x:\(x)") //x:3
println("y:\(y)") //y:2
スワップするコードでしたが、inoutと&を使用した参照渡しでのみスワップされています。
コードの失敗例
inoutの挙動がうまくいかないケースもあるようです。具体的なコードは以下です。
func test(inout param: Int) -> () -> Void {
let closure = {
param = param + 1
}
closure() // 呼び出し(A)
return closure
}
var x = 42
print(x) // "42"
let closure = test(&x)
print(x) // "43" : (A)で呼んだから + 1 されてる
closure() // 呼び出し(B)
print(x) // "43" : (B)でまた呼んだのに + 1 されてない。
次に、同じ処理内容でうまくいくパターンのコードです。
class Wrapper {
var value: Int
init(value: Int) { self.value = value }
}
func test(param: Wrapper) -> () -> Void {
let closure = {
param.value = param.value + 1
}
closure() // 呼び出し(A)
return closure
}
var x = Wrapper(value: 42)
print(x.value) // "42"
let closure = test(x)
print(x.value) // "43" : Aで呼んだから + 1 されてる
closure() // 呼び出し(B)
print(x.value) // "44" : Bでまた呼んだから + 1 されてる
inoutで挙動がうまくいかない場合クラス経由に書き換えることで処理が実行されるケースがあるようです。Swiftはバージョンによる仕様の変化が激しいためバージョンによって挙動が変わりますが、今まで動いていなかったものが動くようになったり、逆に動いていたものが動くようになったりすることもあるでしょう。
バージョン変更でバグが解消されたり逆にバグが発生することもありますが、そもそも仕様が変わって使えないコードが出てくる場合もあります。仕様変更を意識しておくことと、動かなかった場合に備えて複数のコーディングパターンを考えておくことが重要です。
配列の値渡しと参照渡し
変数でのinoutについて解説してきましたが、次に配列で紹介します。まず値渡しのサンプルコードは以下です。
func plusOne(array : [Int]) -> [Int] {
var array = array
for i in 0 ..< array.count {
array[i] = array[i] + 1
}
return array
}
var oldArray = [0, 1, 2]
print(oldArray) // => [0, 1, 2]
var newArray = plusOne(array: oldArray) // => [1, 2, 3]
print(oldArray) // => [0, 1, 2]
値渡しなので配列の中身は変化していません。次に参照渡しのサンプルコードです。
func plusOne(array : inout [Int]) -> [Int] {
for i in 0 ..< array.count {
array[i] = array[i] + 1
}
return array
}
var oldArray = [0, 1, 2]
print(oldArray) // => [0, 1, 2]
var newArray = plusOne(array: &oldArray) // => [1, 2, 3]
print(oldArray) // => [1, 2, 3]
参照渡しでinoutを使用すると、配列の中身が変わりました。変数でも配列でも値渡し、参照渡しの違いは同じです。
クラスインスタンスの値渡しと参照渡し
変数や配列同様に、クラスインスタンスも値渡しと参照渡しがあります。そして扱いとしては同じです。まず値渡しのサンプルコードは以下です。
class Car {
var color : String
init(color : String) {
self.color = color
}
}
func swap(car1: Car, car2: Car) {
let tmp = car1.color
car1.color = car2.color
car2.color = tmp
}
do {
let fooCar = Car(color: "Red")
let barCar = Car(color: "Blue")
print(fooCar.color) // => "Red"
print(barCar.color) // => "Blue"
swap(car1: fooCar, car2: barCar)
print(fooCar.color) // => "Blue"
print(barCar.color) // => "Red"
}
次に参照渡しのサンプルコードは以下です。
class Car {
var color : String
init(color : String) {
self.color = color
}
}
func swap(car1: inout Car, car2: inout Car) {
let tmpCar : Car
tmpCar = car1
car1 = car2
car2 = tmpCar
}
do {
var fooCar = Car(color: "Red")
var barCar = Car(color: "Blue")
print(fooCar.color)
print(barCar.color)
swap(car1: &fooCar, car2: &barCar)
print(fooCar.color)
print(barCar.color)
}
参照渡しでは変数の中身が直接書き換えられます。
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