仕事を受ける前に知っておきたい請負と受託の違いまとめ
18/08/15 11:50:27 18/08/15 15:34:54
フリーランスが仕事を受ける際には主に請負契約と受託契約があります。業務内容によって契約の種類が分かれていると勘違いされることが多いようですが、厳密にはそうではありません。
そこでこのページでは、請負契約と受託契約の定義の違いについて解説します。
請負契約とは?
まず請負契約とは、成果物の提出によって業務完了とする契約です。たとえば、執筆した記事の納品、作成したプログラムの納品、デザインしたものの提出、などによって業務完了となります。
実際上記のような仕事は請負契約が結ばれることが多いのですが、たとえばライティング業務だから請負契約だというわけではありません。あくまでもライティングの成果物を提出する契約だから請負契約です。
もしも作業場でプログラミングを行うこと自体に対して対価が支払われ、成果物と報酬のトレードになっていないケースでは請負契約ではありません。フリーランスのプログラマーの多くは取引先と請負契約を結んでいますが、そうでないケースもあるということです。
受託契約とは?
受託契約とは、仕事を行うことそのものに対して報酬が支払われる契約のことです。たとえば、窓口での受け付け業務、電話対応業務、などをフリーランスで行った場合、受託契約になるでしょう。
他にも例としてプログラマーが受託契約を結ぶケースがあります。プログラマーが取引先と請負契約を結んだ場合は完成したシステムを提出することで報酬が支払われます。しかし、受託契約を結んだ場合必ずしも成果物の提出は必要ありません。
取引先に足を運んで作業することで報酬を得ているプログラマーも多いので、この場合は受託契約になります。
在宅やノマドワーカーは請負が基本
フリーランスとして仕事現場に足を運んでいる方もいるかもしれませんが、フリーランスのメリットを最大限活かして働く場合は在宅やノマドになり、現にそのように働いている方が多いかと思います。
そして、在宅やノマドで働くフリーランスの方はほぼ受託契約を結んでいることでしょう。つまり、成果物を提出し、その対価として報酬を受け取っているはずです。稀にフリーランスに対して請負契約を提案するケースもあります。
具体的には、成果物を提出するものの、報酬自体は時間に対して支払うという形式です。このようにフリーランスに対して請負契約を提案する企業もあります。では、なぜこのようにフリーランスに受託契約を提案する企業が存在するのでしょうか。
普通に考えれば成果物に対して報酬を支払う請負契約の方が明らかにわかりやすいはずです。多くの場合、名目上の理由は「フリーランスによってスキルに差があるので、努力に対して報酬を支払いたい。」というものです。たとえば、同じような成果物を作成するにしても個人のスキルによって掛かる時間が変わってきます。
そうすると、まだあまり作業に慣れていないフリーランスは時給換算したときにアルバイトの最低時給を大幅に下回ってしまうようなこともあるのです。こういった事態を防ぐために時間に対して報酬を支払うというのが「名目上の理由」です。
フリーランスは受託契約を結ぶとメリットがある?
しかし、本当にフリーランスは企業と受託契約を結ぶことでメリットを受けられるのでしょうか。企業に直接足を運んでいる方は受託契約で良いのですが、在宅やノマドの方は基本的に受託契約は避けた方が無難です。
なぜかというと、努力に対して報酬を支払うというのはあくまでも名目で、実態としては単に報酬額を引き下げたいだけだからです。たとえば、ある成果物に対して「8時間掛かった」として8時間分の報酬を請求したとします。
上記のように努力に対して報酬を支払うのであれば、成果物の分量に関わらず8時間分の報酬が支払われるべきでしょう。しかし、実際はそうはなりません。多くの場合企業の担当者は「8時間は掛かり過ぎで、相場は4時間です。なので4時間分の報酬を支払います。」といった主張を通します。
つまり、わざわざ在宅やノマドのフリーランスに対して受託契約の時間給計算を提案する企業は、企業の思い通りに報酬をコントロールすることが狙いなのです。受託契約にしておいて、毎回「成果物に対する相場時間」を勝手に決定し、フリーランスに対して報酬を支払う企業が多々存在します。
企業が受託契約を結ぶ狙いは?
もちろんフリーランスにとってメリットのある金額を提示するわけではなく、あくまでもコストカットが狙いです。請負契約で最初から単価を設定すれば良いのにあえてそれをせず、後から勝手に成果物に対して相場時間を設定するという手法は明らかに悪質な契約になります。
アルバイトにたとえると、後から仕事を評価して、「実際に働いた8時間分の仕事はできてないから給料は4時間分で」と言っているようなものです。本当に掛かった時間分支払われるなら在宅やノマドワーカーが受託契約を結ぶのも良いのですが、そうはならず、勝手に報酬を引き下げるのが狙いということでした。
私自身在宅やノマドの形式で受託契約を結んだことはないのですが、「成果物に対する報酬ではなく時間給を設定する」という提案を受けたことがあります。明らかに不自然に感じたので詳しく聞いたところ、「成果物を作成するのに掛かった時間分の報酬を支払う」という回答でした。
ただしこれだと掛かった時間を証明できず自己申告になってしまいます。その点についても企業側に確認してみたところ、「掛かった時間は申告してもらうが、相場を勘案してその金額を支払う」とのことでした。
それなら最初から相場の金額を設定しておけば良いわけで、後から金額を引き下げるためにあえて受託契約にしていることは明白です。これがわかった時点でもちろん私は契約する気はなかったのですが、念のためこういった契約を提案する企業についてリサーチしてみました。
すると、やはりよくわからないままに契約して、後から報酬額を引き下げられる事例が多いようでした。
金額は契約時に明確にしておく
請負契約と受託契約の違いや、在宅やノマドのフリーランスに対してあえて請負契約を提案し、後から勝手に「相場時間」を決めて不当に報酬金額を引き下げる事例について紹介しました。
請負契約と受託契約の違いを知っておくことはもちろん、上記のように契約ルールを悪用して契約が結ばれるケースを避ける必要があります。そのために注意すべき点は一つで、「契約段階で作業範囲と金額を明確に決めておく」ということです。
請負契約にも受託契約にも言えることですが、後から自由に金額を変えられるような契約を結ぶべきではありません。そして、請負契約の場合はほぼ確実に契約時に成果物の内容と報酬金額が決定されます。
仮に成果物の内容と報酬金額が変わる可能性があるにしても、明確なルールに基づいて変更されます。たとえば、プログラミングならステップ数の増減に合わせて当初の計画と変更するといったことです。
ステップ数という明確な基準があればフェアですよね。また在宅やノマドのフリーランスが受託契約を結んではいけないというわけではないのですが、上記の通り後から勝手に相場を決めて金額変更できてしまうような契約は避けた方が良いでしょう。
受託契約を結ぶのであれば、きちんと申告した時間分のお金をもらえることを確約するか、毎回相場があるなら作業に取り掛かる前に相場と金額を明確にしてもらいましょう。ただしいったん時間の相場を決めて報酬を決めるなら最初から請負契約で良いはずなので、違和感のある契約ではあります。
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