フリーランスエンジニアのパソコンやモニターが経費になるか税理士に聞いてみた
18/05/13 14:52:31 18/05/20 15:33:50
フリーランスエンジニアにとってパソコンやモニターは必要不可欠な仕事道具です。会社や客先で働くフリーランスエンジニアの中には、プライベートではパソコンと向き合っている以外の時間を持ちたい、などの理由からあえて自宅にはパソコンを置いていない方もいるかもしれません。
しかし、会社や客先には行かずに自宅で作業しているフリーランスエンジニアの場合、パソコンやモニターを持っていないという状況はあり得ません。ノートパソコンでも良いかもしれませんが、いずれにしても家にパソコンがあることでしょう。
「フリーランスになる前から同じパソコンを使用している」「フリーランスになってから買い替えた」「これから購入を考えている」と人によってパソコン事情は様々かと思います。特にこれからパソコンを購入しようとしているフリーランスエンジニアは、経費計上について絶対に押さえておいた方が良いです。
絶対は言い過ぎかもしれませんが、パソコンは決して安い買い物ではありません。経費にできるかどうかで納税額に影響が出てくる額です。特にフリーランスエンジニアの場合仕事の性質上ハイスペックなパソコンにこだわりたい方も多いかと思うので、ぜひ経費にしましょう。
このページでは、そもそもパソコンやモニターを経費にすることはできるのか、どのような勘定科目を使えば良いのか、金額によって経費計上の仕方が変わってくるのか、といったことを税理士に聞いてまとめています。
ついでに、ゲームもしたいからゲーミングPCにしたい、なんてフリーランスエンジニアもいるかもしれません。その場合の経費計上についても紹介します。
目次
そもそもパソコンやモニターを経費計上できる?
そもそもパソコンやモニターを経費計上できるかどうかですが、結論は「できる」です。ただし、金額によって経費計上の方法が変わってきます。ちなみに、パソコンでもモニターでも経費計上のルールは同じです。
ただし、パソコンとモニターをセットで購入する場合には別の注意点が発生します。それについて詳しくは後ろで解説します。
10万円未満の場合「消耗品費」
まずパソコンでもモニターでも、10万円以下なら「消耗品費」として計上できます。また、パソコンはプライベートでも使用するので、「仕事で使用する割合だけ経費にすれば良いのか」という疑問が出てきます。
しかし、10万円以下のパソコンやモニターに関しては一括で消耗品費として計上して問題ありません。税務調査で突っ込まれることもほぼないようです。ものによっては細かく税務調査で仕事での使用割合とプライベートでの使用割合について聞かれたりしますが、なぜかパソコンは全額経費で問題ない傾向があります。
なぜパソコンが全額経費にできるのかというと、経費に関する法律ができた時代にパソコンが一般的に普及していなかったからだと考えられます。パソコンの経費計上に対して厳しくする基準や判例もないので、結果的に甘くなっているのでしょう。
10万円以上30万円未満の場合「固定資産」からの全額減価償却か4,5年の減価償却
10万円以上30万円未満の場合、「固定資産」として計上します。そして、そこから減価償却を行います。一般的な減価償却だと複数年で償却です。具体的には、サーバーとして使用するパソコンやモニター等の機器は5年、それ以外のパソコンは4年で減価償却していきます。
ただし、10万円以上30万円未満のパソコンの場合、一定の条件を満たせば全額を一括で減価償却費にできるのです。具体的に一括で全額減価償却できる条件は以下になります。
- 確定申告を青色申告で行うこと。
- パソコンやモニターを実際に業務目的で使用していること。
- 「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を確定申告の際に提出すること。
- 少額減価償却資産の合計が300万円未満であること。
以上の条件を満たせば、固定資産として計上したパソコンを全額一気に減価償却することができます。パソコンを購入した年度の税金を安くするためには、全額経費計上した方が当然安くなります。
ちなみに、「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」は名前が難しい割に様式は非常に簡単です。国税庁のホームページに明細書の例が載っているので、それを参考にしてすぐに記載できます。
具体的には、「名称(パソコンなど)」「取得年月」「取得価額」の3つを記載するだけです。簡単なので少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を作成すれば良いのですが、青色申告決算書の「減価償却費の計算」を細かく記載することで明細書の作成を回避する方法もあります。
具体的には、青色申告決算書に以下の項目を記載します。
- 少額減価償却資産の取得価額の合計金額。
- 少額減価償却資産について租税特別措置法第28条の2を適用するということ。
- 少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管しているということ。
これに関しても、詳しくは国税庁のホームページに掲載されています。10万円以上30万円未満のパソコンは、以上の流れで全額減価償却すると良いでしょう。
30万円以上の場合は「固定資産」
30万円以上のパソコンは、完全に固定資産です。10万円以上30万円未満の場合のように、一括で減価償却することはできません。通常通り、4年、もしくは5年で減価償却することになります。
パソコンとモニターをセットで購入した場合の経費計上
モニターを単体で購入した場合、パソコンの場合と同様の扱いになります。モニターだけで10万円を超えることはあまりないかと思うので、「消耗品費」として費用計上することになります。
問題になるのは、パソコンとセットでモニターを購入した場合でしょう。モニターだけ費用として計上できるのかという疑問が出てきます。モニターとパソコンを合わせて10万円以内なら合わせて消耗品費として費用計上すれば良いですが、パソコンが10万円、もしくは30万円を超えている、モニターとのセット料金だと10万円、もしくは30万円を越える、というケースで頭を悩ませます。
上記のような場合、モニターとパソコンを別で経費計上したいと思うかもしれません。結論としては「微妙」です。税理士も「どうなんでしょう」と言っています。税理士事務所で購入した際には、パソコンとセットで購入したモニターは一緒に費用計上し、追加で後から購入したモニターは単体で費用計上したそうです。
ちなみに、机と椅子をセットで購入した場合は、節税対策のために別々に計上することは禁止されています。ただし、パソコン関連は自由度が高いので、パソコンとモニターを別々に計上して問題ないケースも多いようです。
この辺は税務署の担当者によっても対応が変わってくるようです。パソコンとモニターをセットで購入したのに別々に計上するのはおかしいと突っ込む職員もいれば、パソコンとモニターは別物なので、一緒に購入した際も別々に計上して問題ないと考える職員もいるようです。
ゲーミングPCは経費にできる?
税務署がパソコンの経費計上に対して甘めとは言っても、さすがにゲーミングPCだとまずいのでは?と思われるかもしれません。しかし、ゲーミングPCでも経費として認められるケースが多いです。
ゲーミングPCはオンラインゲーム用にグラフィックボードが入っていたりしますが、その辺はあまり突っ込まれないようです。特にフリーランスエンジニアの中には仕事の性質上映像処理が必要な方もいるので、ゲーミングPCを費用計上しても問題ないと言えます。
また、映像処理にまったく関係ないプログラミングをしているフリーランスエンジニアであっても、グラフィックボード搭載のPCを費用計上して突っ込まれることはあまりなさそうです。
パソコンの金額ごとの税務処理を把握しておいて正しく「消耗品費」「固定資産」として計上し、正しく減価償却を行えば、パソコン関連に対する税務署の判断は比較的甘めということでした。
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