フリーランスエンジニアの腕時計を経費にする方法を税理士に聞いてみた

18/05/29 11:53:09     19/05/04 16:25:03

腕時計

フリーランスは時計を経費にできるの?

フリーランスエンジニア含め、フリーランスなら購入したものはなるべく経費にしたいと思うのが普通です。経費が増えればその分所得税は少なく済むので、当然でしょう。そして、特に時計は高価なものが多いので、経費にできるかどうかで節税に大きな影響を与えます。

時計は経費にできるのでしょうか。税理士に聞いてみました。

→関連:フリーランスの税金はどれ位?目安は?控除などの税金対策や計算シュミュレーションまで

フリーランスエンジニアは時計を経費にできない

最初に結論を言ってしまいますが、基本的にフリーランスエンジニアが時計を経費にすることはできません。まずフリーランスエンジニアが時計を持たなければならない必然性がなく、また時計はプライベートでも使用できます。

これは壁掛けや置時計でも、腕時計でも同じです。フリーランスエンジニアは時計がなくても仕事をすることが可能で、パソコンには時間が表示されているのでより一層時計は必要ありません。

完全にビジネス用でも経費計上できない?

打ち合わせなどに使う時計も、プライベート使用との境目が微妙なので経費計上することが難しいです。他にもたとえばスーツは基本的に経費計上できません。その理由は、スーツはプライベートでも使用するからです。

ただし、それを言ったらパソコンなどもプライベート使用するはずなので、税務署の主張は矛盾があるようにも思えます。事実昭和の判例でスーツは経費として認めないという判決があったので現在も経費計上が認められていないのですが、やはり税務署の主張には矛盾がある印象も受けます。

時計やスーツもビジネス利用するので一部経費計上したいという主張はもっともなのですが、税務署としては高級時計で節税されると税収が減るので困ります。表向きは時計やスーツはプライベートでも使用するという理由で経費計上を認めていませんが、実際は税収が減ると困るからです。

スーツや時計のように多くの人が持つものは、経費として認めるかどうかで税収が大きく変わってきます。そのため、プライベートでも使用するという名目のもと、税務署は経費として認めていません。
いろいろな時計

時計を経費計上できる職業もある

上記の通りフリーランスエンジニアは時計を経費計上することができませんが、実は同じフリーランスでも時計を経費計上できる職業があります。それは、転売ビジネスアパレルです。

これらのビジネスにおいては、時計がそのまま商品になります。そのため、時計が売り上げに貢献する必要経費になります。販売するための時計はもちろん、そのなかの一部を身に付けることが可能になります。

自分が身に付ける時計をそのまま経費計上すると、税務署には認められません。なぜならその時計は売上に貢献していないからです。しかし、販売するために仕入れた時計のうちの一つを自分のものとし、その時計を紛失したものとして計上すれば仕入れた時計を自分で使用することができます。

相談するボタン

もちろん本来は意図的に紛失分として計上することは禁止されていますが、実際に商品を紛失したり、帳簿の付け間違いで数が合わなかったりすることは日常的に起こり得ます。つまり、仮に自分で身に付けるために時計を紛失したとして計上していても、税務署から細かく突っ込まれることはないのです。

一応ルール違反なので強く勧めることはできませんが、売り上げのために仕入れたものの一部を自分のものにすることは可能なので、転売ビジネスやアパレル関係のフリーランスのなかにはそういった方法で商品を自分のものとして身に付けている人もいます。
時計を腕につけている人

フリーランスエンジニアが経費にできるものとは?

残念ながら、フリーランスエンジニアが時計を経費にするのは無理ということでした。フリーランスエンジニアをやりながら転売ビジネスやアパレル事業を営む場合は話が別ですが、そういった業態の方は稀でしょう。

ほとんどのフリーランスエンジニアは時計は自費になります。では、フリーランスエンジニアは何を経費にできるのでしょうか。それは以下です。

  • 地代家賃
  • 水道光熱費
  • 旅費交通費
  • 接待交際費
  • 消耗品費
  • 減価償却費
  • 雑費

以上のようになります。これ以外にも経費になる勘定科目はありますが、フリーランスエンジニアが使用する勘定科目はだいたい上記に挙げたもので網羅しているでしょう。

地代家賃、水道光熱費

まず、地代家賃は家賃や土地代のことです。自宅で作業しているフリーランスエンジニアであれば、家賃の一部が経費になります。水道光熱費も地代家賃同様に、自宅で作業しているフリーランスエンジニアなら一定割合で経費にできます。

→関連:フリーランスは自宅を経費にできる?経費にできる範囲は?

旅費交通費

旅費交通費は、仕事のために掛かった交通費や宿泊費が該当します。フリーランスエンジニアの場合宿泊することはあまりないかと思いますが、移動に掛かった交通費は費用計上できます。

→関連:フリーランスエンジニアが損しないための交通費の計上方法

接待交際費

接待交際費は、クライアントとの打ち合わせ等で掛かった費用を指します。カフェなどの飲食店で打ち合わせするケースは多いかと思いますが、そこで掛かった飲食代が主に接待交際費になります。

消耗品費、減価償却費

消耗品費は、ペンや紙やキーボードやマウスが該当します。パソコン本体も10万円以下の場合や、手続きを踏めば30万円まで消耗品費として計上できます。それ以上の金額になるといったん固定資産として資産計上し、そこから減価償却費として費用計上していくことになります。

雑費

最後に雑費ですが、雑費は他のどの勘定科目にも当てはまらない場合に使用する勘定科目です。どれにも当てはまらない場合は雑費として計上して問題ありませんが、当てはまる勘定科目があるにも関わらず雑費計上が多くなると、いい加減な帳簿付けをしている印象になります。

税務署からの印象があまり良くないので、税務調査に入られた際にも安心なようにきちんと雑費以外にできるものは適正な勘定科目で仕分けた方が良いでしょう。

税理士に相談する

不正な経費計上をするとどうなる?

不正な経費計上とは、必要以上に交通費を多く経費計上する、カラ出張でそもそも行っていない分の交通費を計上する、プライベートな飲食まで接待交際費に含める、などが挙げられます。

他にも、単純に使っていない経費を計上すれば不正な経費計上となります。フリーランスの方であれば、もう少し経費多くならないかな、と思った経験のある方は多いかもしれません。

しかし、もちろんこれは脱税に相当します。使っていない経費を計上して所得税の金額を不正に引き下げているからです。そして、税務署から脱税として判断されれば、延滞税、加算税を取られる、最悪の場合は刑事罰を科される可能性もあります。

税務署はおかしいと思えば税務調査に入り、そこで悪事が暴かれると大変なことになるでしょう。
税務調査

税務調査に入られるとどうなるのか

不正な経費計上を行うと、税務調査に入られる可能性があります。たとえば、時計を間違えて経費にした、といった程度なら注意されるだけで済みますが、明らかに意図的に不正な経費を計上すると、法的な問題が生じます。

その際には税務調査に入られることになりますが、基本的にフリーランスは税務調査に入られることが少ないです。税務調査は大きなお金が動く法人をメインターゲットにしているので、フリーランスが税務調査に入られるのはよほど問題があるケースでしょう。

また、違法性が認められそうな法人やフリーランスに対しては、抜き打ちで税務調査に入られることもあります。しかし、多くの場合実は事前に電話で連絡があり、そこで日程を決めることができます。

つまり、ほとんどの場合は税務調査に入る前に予告があるので、準備できます。とは言ってもそもそも不正な経費を計上していたら、準備のしようがありません。領収書もなければ納得のいく説明もできない可能性が高いので、税務署からの注意勧告、追加徴税、場合によっては刑事罰の対象となります。

当然ですが、フリーランスエンジニアにとって経費になるもの、ならないものを事前に把握し、正確に記帳を行い、問題が起こらないようクリーンな経費計上ができるとベストです。

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